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コピーライティングマーケターの一式未来です。
当サイトでは、主に「人々を導く(動かす)為のコピーライティング」を中心としたテーマを取り扱っておりますが、現代において特に重要なのは、そのコピー(メッセージ)を届ける為のメディアが多様化しているという事です。
従来、その中心となっていたメディアこそが「テレビCM」であり、殆どの人々がそれを見て商品やサービスを購入するという時代が過去にはありました。
しかし、今やそんな「テレビCM」はインターネットの登場により、大きくその立ち位置を変えられてしまう事となったのです。
結果的に、コピーライティングの世界においても、そのテクニックはWebメディア(Webサイト、メールマガジン等)に適したものが中心に取り上げられている傾向にあるように思います。
よって、一般人が「テレビCM」におけるコピーライティング等を学べる機会は殆どなく、実質それらを学べるのはその仕事に携わっている広告代理店や、発注元の宣伝担当に限られるものとなっているのです。
ただ、下記の記事でも書かせて頂いている通り、「コピーライティング」と言うものを本質的に捉える為には、「テレビCM」の背景にあるコピー(戦略)を理解する事は、非常に有用な手段と言えます。
(✅ CMにおけるコピーライティングと有名CMに共通した型とは)
そして、その「テレビCM」におけるコピー(戦略)を形にする為のものが、「企画コンテ」と呼ばれるものです。
この「企画コンテ」を元に、CM作成の全ての物事が進んでいくのです。
今回はその「企画コンテの書き方」について、大手広告代理店等でも常用されているような「オーソドックスな書き方」をお伝えさせて頂ければと思います。
Webで検索すると、アニメや映画製作の為の「絵コンテ」の書き方は沢山出てきました。
しかし、CMにおける「絵コンテ(=企画コンテ)」の書き方は皆無であった為、そういった意味でこの記事はあなたのお役に立てるのではかと思います。
大手広告代理店のCMにおける「企画コンテ」の様式
先ず、大手広告代理店や広告業界で標準的に利用されている「企画コンテ」の様式を、下記の通り纏めてみました。
基本的にCMは、コピー(キャッチコピー等)と同様に、様々なコンテストが行われており、この様式に基づいて書くだけで、採点者からは「素人ではないな」と思って貰う事ができます。
よって、この書き方に基づくだけで、採点面において「しっかりと見て貰える」というメリットを得る事ができるのです。
「企画コンテ」の書き方について(詳細説明)
では、上記の様式に基づきながら、企画コンテの書き方の詳細をお伝えしていきたいと思います。
①マーケティング戦略・コピー立案
先ずは、マーケティング戦略上のCMの役割を明確にします。
例えば、商品の認知度向上とWebサイトへの誘導を目的とし、Webサイト側での販促へ繋げる等です。
そして、その為にはどのようなコピー(メッセージ・戦略)が必要なのかを決定します。
②コピーを表現する為のストーリー検討
次に、CMの制限時間(殆どは15秒)の範囲で、上記①を視聴者へ訴求する為のストーリーを検討します。
このような限られた時間で視聴者に対して、「文字だけ」でコピーを訴求するのは無理があるので、ビジュアル(映像等)やBGM・効果音・ナレーション等をフル活用する方が望ましいです。
ただ、その詳細は各専門のプロフェッショナルが詰めていく領域となりますので、あくまでも「概要(イメージ)」部分までを検討するのです。
また、場合によっては有名CMにおける訴求の為の「型」も参考にすると良いかと思います。
(上記①②における方法論は下記の記事を参照下さい。)
✅ CMにおけるコピーライティングと有名CMに共通した型とは
③タイトル・秒数の記載
さて、ここからが上記の「企画コンテ」の様式に対する内容になります。
この「タイトル・秒数」については、必ず記載する必要があるので、漏れなきように気をつけましょう。
この「タイトル」は、先付けでも後付けでもどちらでも構いませんが、企画コンテ全体に対するアイデア等が湧きにくい時は、あえてその「タイトル」を先付けするという方法もお勧めです。
思考をあえて収束させる事で、アイデアを出やすくする事ができます。
④カット(コマ)ごとに絵コンテを描写
制作関係者とのCMで表現すべきコピーの認識・マーケティング戦略の意識統一を図る為に、絵コンテを書いていきます。
絵コンテとは、四コマ漫画のように、それぞれのカット(コマ)にイメージを絵で書いていくものであり、企画コンテとは、それ以外の補足説明等も含めた「全体」を指します。
この絵コンテにおいては、「絵の上手さ」等は重要視されません。
下手糞でも、制作関係者とのCMで表現すべきコピーの認識・マーケティング戦略の意識統一さえ図れれば良いのです。
注意点としては、絵コンテを書く際にはなるべく「ペン」等を用い、印刷しても薄くなりにくいよう配慮を行う必要があります。
⑤左側にカット(コマ)に対する補足説明を記載
基本的に、カット(コマ)内には「絵」のみを描写し、その絵に対する「補足説明」はそのカット(コマ)の左側に記載します。
そのポイントとしては、なるべく補足説明を少なくできるよう、カット(コマ)側の表現を膨らませるという事です。
わざわざ「絵」を使う以上、補足説明が沢山必要なようでは、その「絵」は絵としての機能を発揮できていないと言えるのです。
⑥右側にCMにおける構成要素を記載
CMにおける構成要素とは、主に以下の通りです。
- BGM(音楽)
- セリフ(人物等を用いる場合)
- SE(効果音)
- NA(ナレーション)
- CI(コーポレートアイデンティティ)
- 商品・ブランドロゴ
この構成要素に関する注意点としては、セリフやNAを多用しすぎてはならないという事です。
たった15秒~30秒程度しかないCMにおいては、基本的にビジュアル(映像)等を中心に視聴者へ訴えかける必要があり、セリフやNAを使うべき点とは、それらでは伝えきれないようなポイントに絞り込むべきなのです。
なぜなら、視聴者の大半がCM自体を「見たくない」と思っており、かつ短時間という状況下において、セリフやNAといった言語情報を視聴者に処理させるのは無理があるからです。
よって、それらの言語情報を用いるのは、肝心のコピー(訴求点・メッセージ)等に絞り込むべきと言えます。
以上、“大手広告代理店のCMにおける「企画コンテ」の書き方”でした。
人の心を動かす為にコピーライティングを学んでいると、時に、そこに書かれている「言葉(文字)」がその全てという錯覚に陥る事があります。
しかし、今回の内容をご覧頂く事で、そう単純な世界でもない事がお解り頂けたのではないでしょうか。
だからこそ、私はコピーライティングは「面白い」のだと思っています。
そして、このコピーライティングを極めるには、色々なメディアにおけるコピーに触れ、その背景にあるマーケティング戦略等も理解する必要があると考えています。
昨今、コピーライティングやセールスライティングをテーマにしたWebサイト等が増えてきていますが、それらの殆どが、コピーライティングの事を単純に「モノを売る為の心理学を応用したライティングテクニック」のように取り扱ってしまっている事が残念でなりません。
当サイトでは、人の心を動かしより良い方向に導く為の「知」として、コピーライティングをテーマにした内容を幅広く取り扱っていますので、是非、ご参考にしてみて下さい。
引き続き、お付き合い頂けますと幸いです。
一式未来
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