お世話になります。

コピーライティングマーケターの一式未来です。

 

コピーライターとは、基本的に「孤独」です。

 

なぜなら、人々や社会を動かす為に、

 

  • 「何を言うか」(What to say)
  • 「どう言うか」(How to say)

 

といった事を、自らの頭だけで捻り出して行かなければならないからです。

 

時に、デザイナーやクライアントといった協業者がいた場合、共にアイデアを交わしたり、コピーに対する意見を求めたりできるようなケースもあります。

 

しかし、最終的にコピーを捻り出し、選び抜いていくのはコピーライターの役割であり、その様はまさに「孤独」そのものです。

 

ある意味、そんな「孤独」ありきで、そこに居る誰もが思いつかないような「視点(切り口)」や「言葉」、「訴求点」等を見つけられなければ、コピーライターとしての価値は皆無とすら言えます。

 

今回は、そんなコピーライターによる一流のコピー」を書く為の、そもそもの「原点」について、お伝えしていきたいと思います。

 

あなたが既にコピーライターとして活動されていたとしても、されていないとしても、あなたの視野を拡げられる内容になっているはずです。

 

それでは、参りましょう。

「一流のコピー」とは

先ず、優れたコピーの原点を探る前に、「一流のコピー」の定義を押さえておきましょう。

 

ここであなたに質問です。

下記の2つのコピーにおいて、「一流のコピー」はどちらだと思いますか。

 

  • 非常に解り易く、直感的にその意図が伝わるコピー
  • 今までにない視点や価値を気づかせてくれるコピー

 

勿論、両方とも「一流のコピー」の条件として必要不可欠なものです。

 

ただし、ここであえてその優劣を付けさせて頂くなら、後者のコピーにその軍配が上がり、かつ「一流のコピー」と評されるものであると言えます。

 

そして、そのコピーライター側の世間一般のイメージとしては、前者のようなコピーしか書けないのは「二流・三流のコピーライター」。

 

後者のようなコピーを書けてこそ「一流のコピーライター」、と言ったところが妥当かと思います。

 

では、ここで、下記の「一流のコピー」をご覧下さい。

 

13歳で結婚。14歳で出産。恋は、まだ知らない。

 

このコピーは、国際NGOの「プラン・インターナショナル・ジャパン」が、51カ国にも上る途上国の女の子ヘ向けた支援力を強める為に、打ち出されたものです。

 

(勿論、一流コピーライターに依頼の上、書かれたコピーです)

 

あなたはこのコピーを見て、どのように感じるでしょうか。

 

おそらく、「13歳で結婚、14歳で出産」という部分までは、そう驚かれなかったと思います。

 

少なからずそういう実態が世の中にはあるという事は、現代社会においてはある意味、周知の事実でもあるからです。

 

しかし、その後に続く「恋はまだ知らない」というコピーまで読むとどうでしょうか。

 

少なくとも私は、ここで、少女の「心の声」が聞こえたような錯覚を感じてしまうほど、多くの情感やイメージが一気に胸に込み上げてきました。

 

その感覚とは、まさに「感情動かされる」そのもの。

 

実際に、このコピーが打ち出されてからは、その支援に関する資料請求数はなんと前年比の3倍まで押し上がり、寄付金も大きく増えたと言われています。

 

つまり、私だけでなく、それだけ多くの方がこのコピーによって「気づかされ」「動かされる」ものがあったのです。

 

冷静に考えれば、その支援の目的が、少女の「心」を少しでも明るく幸せする事以外の何者でもない事は、誰にでも解るはずです。

 

しかし、我々は日々、様々な葛藤の中で生きている為、物事の本質を見失ってしまう事が往々にしてあります。

 

「大切なものは失ってから気づく」

 

上記のような格言が生まれる背景には、まさにそういった人間の習性があるのです。

一流のコピーは優れた課題設定から生まれる

そんな中で、このコピーは、少女の置かれている「現実」に目を向けつつも、最も大切な少女の「心」を的確にコピーで表現する事で、多くの人々の目を覚まさせました。

 

つまり、多くの人々が気づいていなかった、もしくは見失っていた部分を「発見」し、そこに「課題設定」が成される事で生み出された一流のコピー」なのです。

 

しかし、これがもしも、その課題設定が少しでもズレていたとしたら、上記のような「一流のコピー」は絶対に生まれません。

 

例えば、その課題設定が「少女の心」ではなく、「途上国の政治体制」に当てられた場合どうでしょうか。

 

おそらく、上記とは全く毛色の違ったコピーが生まれる事は火を見るよりも明らかです。

 

このように、コピーとは基本的に、その前段の「課題設定」と言う枠の中で生まれるものなのです。

 

よって、一流のコピーを生み出す為には、人々が気づいていない視点や本質を見つける為の「発見力」と、それに基づく「課題設定」が必要不可欠であると言えます。

 

  • 「何を言うか」(What to say)
  • 「どう言うか」(How to say)

 

上記に関して言えば、コピーの世界では、前者の「何を言うか」でそのコピーの善し悪しが8割型決まってしまうと言われているほどです。

 

その「何を言うか」を大きく左右するのが、この「課題設定」なのです。

 

ちなみに、前述の「プラン・インターナショナル・ジャパン」のコピーを書いたのは日本屈指の女性コピーライターである「こやま淳子さん」です。

「発見力」と「課題設定力」を磨くには

では、一流のコピーを書く為の「発見力」や「課題設定力」は、どうすれば身に着けられるのか。

 

例えば、大手広告代理店「電通」のコピーライターに関して言えば、通勤中に10個以上の何かしら新たな発見をし、それを出社後、上司に報告するというのが日々の任務であるという話を聞いた事があります。

 

また、日本で一番有名な女性コピーライターと言われる事もある「児島令子さん」は、コピーライティングを極めるには「コピーを書く才能」よりも、「コピーを練習する才能」の方が重要と言っています。

 

更に、ほぼ日刊イトイ新聞の日本を代表するコピーライターである「糸井重里さん」ですらも、その事務所には、あの数々の有名キャッチコピーを生み出す為の辞書のようなリソースが山積みになって置かれているそうです。

 

つまり、これらの一流コピーライターの事例を見れば、一流のコピーを書く為の「発見力」や「課題設定力」は、一朝一夕で身に付くようなものではなく、日々の鍛練が必須なものであるという事が解ります。

 

そして、その鍛練とは、日常的にアンテナを張り巡らせたり、知識を蓄えたと言った、どちらかと言えば「書く」事とは一歩離れたものでもあるのです。

 

そんな中で、一流のコピーを書く為の「発見力」や「課題設定力」を養っていく為に、私がお勧めする鍛練方法が以下になります。

 

日常で出会うコピーの1つ1つに対し、その背景に設定されている「課題」を読み解き、そのコピーによって自らがどのような「影響」を受けたのかを考える事を習慣としていく。

 

このような習慣を持つ為には、「コピーを好きになる事」が何よりも重要だと思います。

 

そして、そんな習慣を心掛けていけば、あなたの「発見力」や「課題設定力」は、自然と日常生活の中で養われていくはずです。

一流のコピーは人々の価値基準をも変える

最後に、一流コピーが持つ「人々の価値基準をも変える力」について触れておきたいと思います。

 

その為に、下記の問題について考えて見て下さい。

 

【問題】ニューヨークに動物園をオープンしたものの、客がなかなか集まらない。そんな動物園の集客を増やす為に、どんなコピーを書けば良いか。

 

ここでおさらいですが、一流のコピーを書く為には、「優れた課題設定」を発見する必要があるとお伝えしました。

 

では、ここで言うその「課題」とは何でしょうか。

おそらく、多くの人々が着目するのが「競合の存在」でしょう。

 

「周りの動物園に負けているに違いない」
「それ以外の娯楽施設に負けているはず」

 

・・・

 

さて、あなたはどんな「課題設定」を行ったでしょうか。

 

ニューヨークは、「アートな街」とも呼ばれるほど、アートに盛んな街です。

街の至るところに溢れる「パブリックアート」、そして数多くの「美術館」。

 

このようにニューヨークの人々はその観光客も含め、「アート」に興味を持った人々が多いという事が伺えます。

 

ここで「解答例」です。

 

上記の問題に対する然るべき課題設定は、

 

「動物園のアート性をどう伝えるか」

 

となります。

 

このように課題(何を言うか)さえ設定すれば、あとは「どう言うか」だけです。

ここでは、下記のようなコピーを考えてみました。

 

地球が創造したアートの宝庫、動物園もいかが?

 

このコピーは、元々は人々に、動物達の集まりとしてしか認識されていなかった「動物園」を、アートとしても再認識させる効果を持っています。

 

つまり、その効果(コピー)に心を動かされた人は、動物園に対して持っていた価値基準を、「アート」という視点からも捉え直す事になるのです。

 

これこそが、一流コピーの持つ「人々の価値基準をも変える力」です。

 

そして、人々の価値基準や視点は、時代の流れと共に移り行くものである為、コピーもそれに合わせて変化させていく事が望ましいと言えます。

 

では、最後にアメリカの広告代理店であるドイル・デーン・バーンバック社の創始者であり、コピーライターでもあるウィリアム・バーンバック氏の言葉を引用させて頂きます。

 

売ろうとする商品について、言わねばならぬことを発見する。その商品が競合に勝てる優秀性・相違点を真剣に追求する。それがない場合は、クライアントと相談して、それをつくる。

言うべきことを決めたら次に、それが記憶され、行動を起こさせるように、覚えやすく、芸術的で、説得力ある言い方を考える。独創的で、新鮮で、創造力豊かに表現する方法を捜し求める。

 

上記の言葉は、広告代理店とクライアント(広告主)のケースを表したものになりますが、やはりそこでも「どう言うか」よりも「何を言うか」といった「課題設定」が最優先されている事がお解り頂けるのではないでしょうか。

 


 

さて、今回は、一流のコピーを書く為の「優れた発見力と課題設定」について主にお伝えさせて頂きました。

 

当サイトでは、 このようなコピーライティングに関するノウハウや、その根本にある潜在顧客や人々の心を動かし導く(誘導する)為の「本質」について、その他の情報源からは得にくいような情報発信を心がけ運営しています。

 

引き続き、お付き合い頂けますと幸いです。

 

一式未来

 

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